【本の感想】桶川ストーカー殺人事件ー遺言

すごいタイトルだけども。

20代前半に「どうして世の中には悲しい事件がたくさん起きるんだろう。どうすれば解決できるんだろう」とその答えを求めて色々な角度から本を読んで。これは衝撃を受けた中の一冊。2002年に読了。

著者の清水記者は、桶川ストーカー殺人事件の警察の捜査に疑問を持って、被害者の遺書を頼りに根気強く真相を解明する。警察の不祥事やマスコミのいい加減な報道を次々に明らかにしていった。清水記者の執念がストーカー法にも結びついた。清水記者の人としての在り方にとても感銘を受けたことを覚えてる。

当初、マスコミの過熱報道では「ブランド好きで風俗で働いていた女性がつきまとわれて殺された」という被害者像ができあがっていた。報道が加熱していたから、なんとなく思い出す方もいるかもしれない。でも、それは全部でっち上げだった。

警察の事件前と事件後の対応、マスコミの道徳観の低さ、近所の人たちの誹謗中傷、それぞれのとても偏った見方と判断で、殺されずに済んだかもしれない被害者。残されて戦った遺族がどれほどの苦しみを抱えたのか計り知れない。こんなことがあって良いのかとものすごく憤りを感じた。

けれども、それと同時に、わたしだって同じように「そういう人だからそういう目にあっても仕方ない」とか「賠償請求するなんて殺された娘を売り物にしている」なんて、マスコミが報道した通りに思い込んでいたことにも、本当に本当に反省した。なんてバカなんだろうと。集団意識の怖さを初めて知ったかもしれない。

私の人生理念の一つは「物事は色々な角度から見て理解する。そうしないと本当の解決策は見えない」。この本を読んで深く反省をして作り上げられた思想であることは間違いない。偏った見方で判断することが間違いを生むし、根本的な解決にはならないし、自分が勝手な見方をしてしまうことで深く傷つく人がいるんだもの。

読んで苦しくなる本だったけど、若い時に読んでおいて良かったと思う、忘れられない一冊。

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